江戸時代から娯楽になり今日まで続けられている代表的な釣り5つ

日本で釣りが娯楽として親しまれるようになったのは江戸時代からと言われています。

食べるためだけに捕っていた漁からレジャーになった現代の釣りシーンでも

その頃から形を変えずに残っている釣りがあります。

それらをまとめて歴史とともにご紹介します。

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江戸時代に釣りが娯楽に


日本で釣りが始まったのは縄文時代まで遡ると言われています。縄文時代の遺跡からは、貝殻や石を削って作られた釣り針や魚を捕るための道具が発掘されています。当時は「食料の確保」という生活の必要から魚を捕ることが中心でしたが、これが「娯楽」として楽しまれるようになったのは江戸時代に入ってからです。

江戸時代は徳川家康が統治を安定させ、戦国時代が終わったことで、武士たちは戦に出る機会が減り、これまでとは異なる生活が始まりました。徳川幕府の身分制度により、武士たちは「武士道」と呼ばれる厳しい規範に従い、農業や商業といった職業に就くことができませんでした。副業も制限され、武士たちは次第に時間を持て余すようになります。

そんな状況の中で、一部の武士たちは「釣りは精神を集中させる鍛錬になる」と考え、釣りを武芸の延長として捉えるようになりました。この考えが広まるにつれて、釣りは単なる食料の確保手段から、精神的な修養や楽しみとしての活動に変化していったのです。武士を中心に広がり、やがて庶民の間でも娯楽として楽しまれるようになりました。

このように、江戸時代には釣りが単なる生きるための手段ではなく、余暇を過ごす楽しみとしての側面を持ち始めたのです。

 

周王朝から伝わった”太公望”も大きく影響

同じころ古代中国で軍師として貢献した呂尚(りょしょう)という著名な人物が釣り好きであったことから、日本にもこれらの話題が広まり

それに感化された武士たちが釣りをしはじめたのも釣りが広まる要因になったと思われます。

この呂尚(りょしょう)という人物は史記では、諡(おくりな)を太公、名を望と記されていて

今日でも釣り好きの人のことを「太公望」と呼んでいます。

今日まで続けられている代表的な釣り5つ

 

アオギスの脚立釣り

庶民の間にも広まった伝統釣法

徐々に武士に限らず庶民の間にも釣りが浸透しはじめたころ、江戸湾(現東京湾)の干潟に脚立をたてその上に座って釣る「脚立釣り」が一世風靡しました。

一般的なシロギスよりもカマスに近い体色をしたアオギスがメインターゲットだったそうです。

東京湾沿岸の開発が進むにつれ干潟が少なくなり昭和30年を境にその姿は一時姿を消します。

近年脚立釣りを再現する取り組みが行われています。

※クリックで動画。Youtube【東京湾で40年ぶりに脚立釣りが復活】

 

タナゴ釣り

江戸時代タナゴ釣りは大名や商人など地位のある人物の間で人気を博します。

タナゴは食べるためではなく純粋に釣ることを楽しむための釣りだっそうで現代のキャッチアンドリリースに近いものがあります。

いかに良い道具で釣るかも重要視されていたそうでその名残は今現在でも

タナゴ釣りの道具には昔ながらの”粋”な部分が色濃く残っています。

 

ハゼ釣り

江戸時代の釣りの歴史を語るのにハゼ釣りも外すことはできません。

汽水域にも居るハゼはお壕(ほり)でも釣ることが出来たため庶民にも広まっていきました。

 

イカ釣り

現在でもエギングとして根強い人気を誇っているイカ釣りも江戸時代からの名残をいまなお受け継いでいます。

「エギ」=餌木の語源はこの時代に出来上がったとされています。

この当時に夜、明かりとして松明(たいまつ)を燃やして漁に出掛けた船が松明の一部が海に落ちてしまっときにその落ちた松明にイカが抱きついたことがエギのきっかけになったそうです。

当時のエギは木材を削ってつくられ現代のようにカラフルなものではなく焼き色をつけたりしたものでした。

しかし形状はほぼ現代のものとほとんど変わっておらず原型を引き継いでいることにも驚かされます。

 

磯のクロダイ釣りは武芸の一種

現在の山形県あたりであった庄内藩の今の残る記録をただると磯釣りは「武芸の一種」だとされていたというものが記されています。

庄内藩の城下町から日本海の磯の磯の釣り場までの距離は20km以上もあり、その当時の移動距離としては大変な道のりです。

その険しい道のりを経て釣り場まで行くこと自体が「武士道の鍛錬」として認識されていたと見られています。

特に磯で釣れるクロダイを狙う釣りは美徳とされていたそうです。

まとめ

こうしてみると日本国内だけでも釣りの歴史をあらためて遡ってみてみると面白いですよね。

直接魚が釣れる釣れないという技術的な面では現代の釣り方の方がより洗練されていますが

こういった起源を掘り下げてみると釣りを実際の釣りすることとは別の角度で楽しむことが出来ます。