2024年干支の辰にまつわる海の生物「タツノオトシゴ」の意外な特徴

2024の干支は辰。一般には「竜」と記ことが多く12種類ある干支の中で唯一の空想上の動物であり実際には存在していません。そのためしばしば例えに用いられる実在する生き物がタツノオトシゴです。

その見た目とは違う珍しい生態と特徴や食べられる!?といった興味深い話題まで深堀りしてみました。

この記事を書いた人

2024年辰年で連想されるタツノオトシゴ

辰という漢字は竜に例えられることが多いですがこの辰と竜には漢字上では何の関係もないとも言われていますが、

読みからも辰⇒タツ⇒竜を連想させられることが多いです。

ですが竜は空想の世界だけの動物であり実際には存在していません。そのため例えとして用いられるのが

その姿、形が竜に似ている海洋生物の「タツノオトシゴ」です。

竜は登り竜や龍神様などしばしば縁起の良いものとして取り上げられていてタツノオトシゴもまた縁起の良い生き物として珍重されています。

もとは安産の祈願のお守りとされていたという説があります。

タツノオトシゴの特徴

 

オスが子育て!

オスが出産するは間違い!正しくはオスが育てる!
タツノオトシゴの繁殖行動は非常に珍しく、オスが卵を育てるという特徴があります。

メスは卵をオスの腹部にある育児嚢に産み付けます
オスは卵を保護し、酸素を供給し、数週間後には完全に発達した子供を世に送り出します。

この行動は「父性」と呼ばれの珍しい例として知られています。

オスが出産するといった間違った情報が流れていますが出産するのはメスで正しくはオスが卵を孵化するまで守り育てるです。

Xに2020年に鳥羽水族館で撮影された写真ポストも”メスがオスに卵を渡しているシーン”と記されています。

 

特徴的な見た目

別名は海の馬!?
タツノオトシゴは英語で表記するとsea horse=(シーホース)と呼ばれ日本でも別名海馬(かいば)と記されます。

タツノオトシゴはその特異な外見で有名です。馬のような頭部には、小さくて丸い目と長く伸びた口吻があり、これが彼らに特有の顔つきを与えています。

その体はS字形に曲がり、先端に向かって細くなります。最も特徴的なのは、他のどの魚にも見られない尾です。この尾は物に巻きつくことができるため、強い流れや波に対しても位置を保つことができます。彼らの体は硬い外皮で覆われており、これは一連の骨質の板から成り立っています。これらの板はしばしばカモフラージュに役立つ複雑な模様や色で覆われています。

大きさは種類によって異なり、一番小さな種では2.5cm程度しかなく、最も大きな種では35cm近くにもなります。

また生息する環境や主食になるエサによって左右されます。

タツノオトシゴ「透明標本」

 

食性

浅い海の海藻などにくるんと曲がる尾を巻きつけ身体を固定し、長く突き出た口吻で動物プランクトンやアミやヨコエビなどの甲殻類を勢いよく吸い込んで捕食します。

彼らは待ち伏せ捕食者で、獲物が近づくのをじっと待ってから、突然の吸引で獲物を口の中に吸い込みます。彼らの長い口吻はこの吸引を助け、狭い範囲で効果的に獲物を捕らえることができます。

 

生息地

タツノオトシゴは温暖な海域を好み、特に海草が豊かで複雑な地形を持つ環境に生息しています。

これらの地域は彼らにとって隠れ場所を提供し、豊富な食料源をもたらします。また、珊瑚礁やマングローブの森など、他の多くの海洋生物が生息する環境も好まれます。

近年、生息地の破壊が進んでいるため、彼らの住む場所は年々減少しています。

 

泳ぎ方

タツノオトシゴは海の中で最も遅い動物の一つです。

タツノオトシゴの泳ぎは非常にユニークです。彼らは背中にある小さなひれを高速で動かして前進します。

このひれは非常に速く動くため、時には目に見えないほどです。

ただこの方法は効率が悪く、彼らは泳ぐよりも、尾で物にしがみつき、流れに身を任せることを好みます。

タツノオトシゴを食べる!?

タツノオトシゴは、そのユニークな外観と生態系での役割に加えて、古来より中国を含む多くのアジア地域で伝統的な薬用素材としても価値を見出されてきました。

漢方医学では、タツノオトシゴはその希少性と特異な形状から「神秘的な力」を持つとされ、様々な治療目的に用いられてきたと言われています。

これらの用途は、現代の科学によって必ずしも支持されているわけではなく、多くの場合、伝統的な信仰や文化的な慣習に基づくものです。

 

唐揚げで食べる!

食用としても一部地域で利用されていたとされ、特にその珍しさから高級食材とされることもありました。その調理法の一つとして、タツノオトシゴをから揚げにする方法があります。

この調理法では、タツノオトシゴを適切に処理した後、油でじっくりとカリカリになるまで揚げます。この過程で、彼らの硬い外皮はさらに固まり、食感は骨せんべいに似たものになると言われています。味わいに関しても、骨せんべいを彷彿とさせる独特の風味があるとされ、特有の食感と合わせて珍重されることもあったようです。

絶滅の危機?と保護状況

しかしながら、このような利用はタツノオトシゴの個体数に大きな影響を及ぼし、多くの種が絶滅の危機に瀕している現状があります。多くのタツノオトシゴの種は絶滅の危機に瀕しています。

主な脅威は生息地の破壊、特に珊瑚礁や海草地の減少です。また、水族館業界での人気が高く、過剰な捕獲も問題となっています。いくつかの種は国際的に保護されており、その生息地を保全し、個体数を安定させるための取り組みが行われています。

現代では、多くの国々でタツノオトシゴの捕獲や貿易に厳しい規制が設けられており、彼らの保護と生息地の保存に向けた国際的な努力が進められています。

伝統的な利用方法は興味深い文化的背景を持つものの、これらの生き物とその生態系を守るために、今日では持続可能な方法での利用が求められています。

タツノオトシゴのような生物が直面している危機は、私たち人間にとっても、生物多様性の保護という大きな課題を再認識させるものです。