シーバス釣りにおいて必須な釣り方であるドリフトについて今回は解説します。
汽水域を好むシーバスには最高のポイントとなる河川と河口では必ず覚えておいた方が良い釣法だと知ってはいるもののやってみるとかなり難易度が高い釣り方でもあります。
シーバスに有効なドリフトのやり方について基本からお伝えします。
シーバス釣り歴15年以上になります。川すずきを主に追い求めて駆け回り収入の半分は釣り道具につぎ込むシーバスオタクです。メーカーからの供給を受けルアーのテスターもしています。はじめた頃と比べると随分とフィールドの状況も変わり釣り方も変化しており、これからもずっと学び続けなければいけないと痛感しています。これまでの長年蓄積してきたノウハウを基に現代にあった”今釣れる情報”をお届けしていきたいと思います。
ドリフト釣法とは
ドリフトとは英語から直訳すると「流される」、「漂う」といった意味で、シーバスで最も多用される釣り方です。
実際にキャストしてラインとルアーを流れに乗せて、ナチュラルな動きでアプローチすることができ、警戒心の強いランカーシーバスや、スレきったシーバスに口を使わせるためのテクニック。
もちろんただ巻きなのでも実際シーバスは釣れますが、そういったシーバスはルアーに対して経験値の少ないサイズの小さいものが多く、高活性の状況がほとんどで、そういった場面は非常に稀です。
水の流れを利用した自然なアピールなので、シーバスの状態に左右されず1年を通してドリフトは有効です。
ドリフトを完璧にマスターできれば、必ずシーバスの釣果はアップします。
ドリフトがシーバスに有効な理由
ベイトを食っているシーバスは流れが向かってくる方向に頭を向けて、上流側から降りてくるベイトを狙っています。
そのため流れに任せてルアーでアピールするドリフトが有効になるわけです。
これにはシーバスの特徴的な捕食行動が顕著に表れている証拠です。シーバスは非常にベイトを食うのが下手な魚でシーバス自体が楽に食べられる方法でしかエサを食べません。
だからこそ自然な形でシーバスの目の前に送ってやるドリフトが有効なのです。
このあたりは、下記の章で詳しく解説しています。興味がある人はあとで確認してみてください。
ドリフトが向いているシチュエーション
ドリフトにはいくつかの条件が合わないと成立できないこともあります。また向いているポイントやシチュエーションがあります。
流れがある中級以上の河川
川の流れが弱すぎるとスローになりすぎて、ヒットポイントまで辿り着くまでに時間が掛かりすぎることからルアーがボトムをコツってしまったり操作性が悪くなってしまいます。目安は人の歩く速度以上と言われています。
また流れに乗せて自分が目指したポイントまでルアーを送ってやる釣り方なので、川幅の狭い河川では非常にドリフトはやりにくく、狭くとも30m以上川幅のある河川がやりやすいです。
活性が低い状況
夜でもベイトは確認できるが、シーバスが追って食っているのがわからない状況や、先行者入った後とか人気のあるポイントの場合、スレていると仮定ができる場合にドリフトが効きます。
また、シーバスの活性が最も上がる秋のシーバスシーズンでも海で育ち河口に戻ってきたデカい個体ほどルアーに対して賢くなっているのでドリフトでないと釣れないシーバスもいます。
ナイトゲームの明暗
自分の場合いちばんドリフトを用いる状況が夜の明暗部です。明るいところから流れてきたシーバスは暗い場所に身を潜めて待ち構えています。
そこに流れに乗ってきたベイトを演出し橋脚などの照明があたる箇所からシーバスが居るであろう狙ったところへ自然にルアーを送ってやる計算です。
ドリフトのメリット、デメリット
シーバスに釣り方の基本とでもいうべきドリフトですが決していいことばかりではありません。
メリット | デメリット |
---|---|
ベイトライクな自然な動き | 初心者にはハードルが高い |
スレさせにくい | 風に弱い |
吸い込みが良い | 手返しが悪い |
釣れるサイズが比較的大きい | だるいw |
ドリフトのメリット
ベイトライクな自然な動き
ドリフトの最大のメリットはこれです。ルアーをリトリーブして泳がせるのではなく自然に水流に漂わせて誘うのでより本物のべイトの動きに似せたナチュラルなアピールができます。
スレさせにくい
上記の理由と重なり、シーバスが居そうな箇所へルアーを送り届ける釣り方なので、そのポイントに直接打ち込んでいくわけではないので、数キャスト繰り返しても場荒れしにくく、その場所にいる個体に無駄なプレッシャーを与えなくて済みます。
吸い込みが良い
ドリフトのやり方はあとで説明しますが、ラインを弛ませて水面につけてやるドリフトの場合、ラインを張っていないので吸い込みしやすく、弾きにくいのでミスフッキングを防ぎます。またラインがピンと張った状態で水の中にいるわけではないので違和感を与えません。
ドリフトのデメリット
初心者にはハードルが高い
初心者にはルアーがどのように泳いてるのか、釣っている状態を把握、認識しにくく、自分もはじめたばかりの頃は最初は何をやっているのかわからないというのが本音でした。
風に弱い
ラインスラック(弛み)を利用した釣りなので、水の流れとは逆方向に風が吹いている時にはキャスト自体もままならないので風の有無、吹いてくる方向に影響を受けてしまう。
手返しが悪い
1回のキャスト後からピックアップまでの時間がゆっくりなので非常に手返しが悪く。パンパン打っていって広範囲を素早くサーチとはいかない。
だるいw
ドリフトの最大のデメリットだと自分は思っている、これ!釣れるまでの時間がじれったいのです。まぁ~シーバスのドリフトで手返しの悪さを我慢できないひとは無理だといえます。
ドリフトのやり方①キャスト
キャストして着水させる位置と流れてくるコースの違いでドリフトの種類が3つに分けられています。
クロスドリフト
アングラーを視点にまっすぐ真正面にキャストしてルアーがU字の弧を描くように手前まで流れさせる方法です。昔はU字メソッドなんていう通称もあったほどで、クロスドリフトはドリフト釣法の基礎にあたります。
初心者がこれからドリフトをはじめるには、クロスドリフトから練習するのが効果的です。
キャストする⇒ラインスラックを取る⇒流れに乗せて漂わせる
この基本的動作を覚えるには最適です。
アップクロスドリフト
アッククロスドリフトはアップクロス=流れの向きに対してクロスさせるように上流側(流れてくる方向)へ斜めに向けてキャストして、そこから任意の狙った場所へラインを流して行く方法です。
流れに乗せやすく一番ルアーが自然に泳いでくる姿を演出でき、漂わせている時間も長いのでシーバスに長い時間アピールが可能な釣り方です。
ただしその分、操作範囲が広いので、初心者が練習するにはちょっと難易度が高いかもしれません。
ダウンクロスドリフト
アップクロスとは逆に、流れが向かっている下流側にキャストして流してくる方法です。
ヒットポイントとして見定めているシーバスの箇所から離れていないため手返しが良くなりキャストの数が増やせます。またトレースコースが短いので風が強い状況にも有効です。
ただしその分狙った箇所に思いのほか到達する時間が早くなるので、気づいたら狙った場所を通り越している場合も多く、リトリーブのスピード調整がいります。
またルアーがターンして戻ってくるコースに入ると流れの影響を受けるので、どうしても早巻きになりがちですがラインをゆっくりデッドスローに巻いてこなければルアーの泳ぎがおかしくなったりして見切られてしまう原因にもなるので、巻き取る速度には注意が必要です。
デッドスローを意識すると流速やルアーの状態を把握しやすいと思います。
ドリフトやり方②ライン操作
ラインを張らず緩めず”たるませて流す”
ドリフトの釣り方で最重要になるのはライン操作です。ドリフトはあくまでアングラー自身はルアーにアクションさせる操作をするのではなく、ラインを操作することです。
感覚的な表現だと、流されているラインが流れに引っ張られてルアーが動いている状態です。弛ませたライン自体が水を噛んで流れに乗ります。
このときに完全にルアーの位置からロッドティップまでのラインがまっすぐピンと張っているのは間違い。弛ませたラインが水面に漂っている状態にします。
ただ巻きしているときにルアーのブルブルと言った動きを感じとることができますがドリフトの最中にそれを感じたなら、それはラインの巻き過ぎです。
ラインスラックが適度に出ていてたるんだ状態がベストです。このことはラインを管理するという意味でラインメンディングと呼ばれています。
ヒットポイントの調整方法
キャストして流してシーバスに食わせようと考えている場所をヒットポイントとして仮定していても、流速によって狙ったはずの位置からずれてくることがあります、その場合はロッドの角度によって調整します。
ロッドを下げればアングラーを中心に手前でターンしてくる。ロッドを上げれば水に浸かるラインが少なくなり先の方でターンしてきます。
この何となくルアーの存在がわかる程度の見極めができるようになるまでが難しいんですけどね…。これを体得するにには練習を重ねるしかありません。
ドリフトに適したタックル選び
ラインの太さやリーダーを含むロッドなどのタックルもドリフトに多少は影響するので、初心者が練習するときには覚えておいた方がいい適したタックルの選び方があります。
ロッドは9ft
ドリフトの場合、ロッドの上げ下げでラインスラックを調整するのでロッドの長さが長さすぎると角度が低くなりすぎたり、持ち上げ過ぎたりしてしまうと、バイトがあった時にアワセを入れにくくなってしまいます。
かといって短すぎると飛距離を損なってしまうので、自分の場合は9ftを目安にしています。そこまであまりこだわる必要はないですが、このことを覚えておくだけでもドリフトの最中に役立つと思います。
太めのライン
冬のハイプレッシャー時や、春先のベイトが小さいときなどはラインを0.8号にすることもありますが、ドリフトには1号~1.2号くらいからの太めのラインのほうが水嚙みがよくなります。それに合わせるリーダーの長さは自分は60センチ弱を目安にしています。
シーバスがバイトしたときの擦れやラインの操作性を加味したときのちょうどよいリーダーの長さだと思います。
シーバスのドリフトに適したルアー
一般的にシーバスを狙うルアーのサイズは、100mm前後が基本ですが、ドリフトする場合には大きめのルアーの方が水の抵抗を受けやすく、しかもドリフトで食ってくる個体は大型も射程範囲内にいることから120mmくらいから選んだ方がいいと思っています。
初心者はサスペンドタイプかリップレスミノーがおすすめ
初心者は浮き過ぎない、沈み過ぎないミノーが慣れるのに早い
初心者は最初、ドリフトしようとするとフォローティングミノーだと、ただ単に水面を這わせて浮いているだけになってしまこともあったり、シンキングミノーだとヒットポイントまで流れる間に沈み込んでしまったりするので、
浮き過ぎない、沈み過ぎないレンジキープのしやすさからサイレントアサシン 99SPをドリフト初心者の練習用に選びました。
サイズ的にサスケ裂波の120SPとも迷ったのですが、これよりも動きが派手で、もう少しレンジが入ってしまうので扱いやすさという点でこちら。ドリフト入門、練習用としておすすめです。
シマノ サイレントアサシン 99SP AR-C キョウリン
慣れてきたら断然シンペンがおすすめ
圧倒的な飛距離、流れに乗せたローアピール、レンジキープ力などの条件を完璧に再現できるのはシンペンにはかないません。
そしてこのスイッチヒッターは絶大な飛距離を伸ばせる適度な重さもありながら、止めても流速に乗ってすぐに沈みこまないのでレンジキープが容易で、
そしてその間に流れに乗って自然なS字を描きながらのスラロームアクションをします。これがベイトに似た自然なアピールで警戒心の強い大型のシーバスにも口を使わせます。
ダイワ モアザン スイッチヒッター 120S+R
上級者は試してほしい大型狙いのバイブレーション
そしてバイブレーション特有の潜行深度は、サイズの大きい個体ほど深場のボトムに着いていることが多くてバイブレーションでないと探れないレンジもあります。
メガバス カットバイブ ヘビーウエイト77
バイブレーションはどうしても巻いてくると前傾姿勢になりがちだけど、このカットバイブは水平姿勢でブルブル泳ぐ。この動きは秀逸。ルアーの動きにセレクティブなランカーシーバスほど本来のベイトとはかけ離れた物体に違和感を覚えるので、この水平姿勢はアドバンテージが高い。
飛距離もさることながら、この独特の受け口な!?リップ形状と体高が流れを受けて滑らかにドリフトする。これら対ランカーシーバスに必要な条件を満たしたカットバイブ。
言うまでもなく放っておくと沈み込むので時々あおってやるなどレンジを調整する必要はあります。なので上級者向き。