目を閉じたまま釣り出来ますか?釣りを始めた全盲の男性が教えてくれる大切なこと

高知市に住む全盲の男性が釣りをはじめました。

もちろん奥さんや友人と一緒ですが驚くことは仕掛けをつくる際のラインの結びも自分で行うという事。

どうやって習得していったのか?なぜ今の自分の身体で釣りをはじめようと思ったのか聞いてみると釣りだけでなく普段の自分たちが恥ずかしくなるほど教わることがたくさんありました。




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視覚障害の男性が釣りをはじめたきっかけ

堤防で釣りをする前岡正人さんご本人。
画像:マイt日新聞

高知市にお住いの前岡正人さんが妻と友人と3人で釣りをはじめたのは1年前。

公共交通機関で行けるポイントを探し桂浜にほど近い浦戸湾の堤防で釣りをはじめる前岡さんたち。

おもむろに道具箱から釣り道具を取り出して仕掛けを結ぶ、結び方はラインの先にテープを張り付けての感覚で先がわかるようにして起用にアイに通していく。

ユーチューブ動画の音声だけを頼りに学んだといいます。そう聞いただけでも驚きですが「なんでも人にやってもらったらおもしろくないでしょ…」との男性のもの凄く前向きな姿勢に早くも尊敬してしまいます。

釣りをはじめようと思ったきっかけになったのは障害者イベントに参加したとき、魚がロッドに掛かる感覚の虜になってしまったこと。

自分たち釣り好きが釣りにハマったきかっけと何ら変わらない!

全盲を期に本格的アスリートへ

元々生まれつき弱視で、30代のときに全盲になってしまった。

でもこれが前岡さんが身体を動かすことに夢中にさせる起因となりました。

3人は同じ職場で働くマッサージ師ですが、一線のアスリートでもああります。

パラクライミングの世界選手権に3回、フルマラソンに10回以上、100キロを走るウルトラマラソンも完走!

2007年にはじめて東京で開催が決まった第1回東京マラソンにも妻のミカさんが伴走者となり夫婦で完走を決めた。

見えなくとも、肌で感じる季節感や風の感覚がとにかく気持ちよいのだそう。

釣りは手元の作業が多く、無理だと思っていた。でもやってみると案外できた。大したことじゃないかもしれないが、できることの積み重ねが自信につながる
出典:毎日新聞

どう表現したらいいのか迷ってしまうが、釣りへの姿勢のみならず生き方に感銘を受けます。

見えないからこそ研ぎ澄まされる感覚

釣りではリーリング速度を一定に保ったり、ただ巻きではロッドの角度を一定にすることなどありますが、初心者にはそれが難しいので、

目をつむって、頭の中で数を数えるという練習方法があります。

微細なアタリを感知するためにも巻いてる途中は目をつむり視覚的に入ってくる情報を遮断すると、ロッドから伝わってくる情報に集中することができるようになったりします。

この前岡さんの場合、そういった感覚が私達よりも研ぎ澄まされているように感じます。

ないものねだり、たられば、釣れないのは誰かのせい…。

五体満足でなんの問題もなく釣りを楽しむことができるはずの私達ですが、

「もっと時間があれば釣れるのに…」
「もっとお金があればあのロッドやルアーも買えるのに…」
釣れない理由や言い訳を考えることは大のお得意!

挙句の果てには
「あのときアイツの言うとおりにしていなければ釣れたのに…」
誰かのせいにすることもあります。

僕は釣り場について状況を見た時に自分のタックルがあっていないことに気が付き

「今日のはラインが細いしこれじゃ釣れない…」なんてボヤいていると

一緒に行っていた釣り友達にこう指摘されました。

「大丈夫、それがわかってるのならそういう釣り方をすればいいだけ!」

すなわちラインが細すぎて釣れないと思っていたけど、

細いラインと今の状況を考えてそれなりの釣りをすればいいと言われた。

結果はというと…釣れましたww

今の状況をすべて受け入れて、それでも前へ進む=釣りならば釣るためにどうすれば釣れるのかを考える。

そして頭の中でわかっているだけではダメ…。即行動にうつす。やならなければ何もかわらない。

今回取り上げた全盲で釣りをはじめた男性は、これら釣りでも、

生きていく上でも大切なことを改めて教えてくれたと思って受けとめています。

もっと私たちは釣らないと!!

ちなみにさっきのアドバイスを受けた友達は、いま自分で遊漁船を営むほどまでになりました。

今では大手釣り具メーカーのD社がスポンサーについてたり、何度も取材にあってる地元ではちょっとした有名人です。
大の仲良しであることは言うまでもありません。

自分に足りないもの知ってますか?

あのときの自分をすごく恥ずかしく思ってます。