釣りをしていると、自分の足音や影が水面に落ちただけで近くの魚が逃げていきます。
そっと近づいて膝ついてやっとキャストしたかと思ったら、ロッドのシュンッという音で逃げてしまうなど、?なことが多い魚たちはどうやって音や振動を見極めているのか?
この疑問を解明し、明日からの釣りに役立つ豆知識をお伝えします。
長い経歴(釣り歴平均12年以上)を持つ釣り好きが集まった共同運営チームです。釣り種によってはメーカーのテスターも有しています。メーカーやプレスリリースでは伝えることのない一般ユーザー目線で忖度なしにお伝えすることを目的としており、タックルやアパレルなど率直なインプレや実釣経験を基にした記事をお届けします。
魚の音と振動を見極める外耳と側線
私達人間は耳で音を聞き、見極めていますが、水の中に居る魚はどうやって音や振動を感じ取っているのでしょか?
魚には、全身に渡って音と振動を受け取る器官が2つ存在しています。
内耳
振動と音を見極める魚の耳!?
一つ目は、魚の”頭の中”にある「内耳」とよばれる器官です。人間のからだのように外側から見える外耳は付いていませんが、人間の外耳と同じくここに耳石(じせき)と極々小さい石ころのようなものが空気や水の動きによって振動することで音を感じ取っています。
また魚には人間にはない浮袋があり、これと「内耳」は繋がっていて、水の振動を浮袋で助長させて「内耳」の中の耳石に伝達することで、より小さな音でも敏感に感じ取れるようになっています。
ちなみに空気中よりも、水中の方が音が伝わりやすいことご存知でしたか?
空気中では、音は1秒間に約340mのスピードで伝わっていきます。 ところが、水中では1秒間に約1500mものスピードで伝わります。
出典:学研キッズネット
話が若干それますが、日本の海上自衛隊や世界各国の海軍が保有する潜水艦も、ステルス性能の向上にやっきになっているのは、水の中では音が伝わりやすい=存在に気づかれやすくなってしまうからです。
側線
魚が音や振動を感じることができる2つ目は身体の左右側面についている「側線」です。
これは人間や陸上で生活する哺乳類には存在していないもので、エラのあたりから尻尾までのあいだに描かれている線のようなものです。
この部分だけ同じように見えるウロコが異なる形状をしていて小さな穴が開いています。その穴は「感覚受容体」とよばれる器官と繋がっており、この器官で水中のわずかな振動や水圧の変化を感じ取っています。雨天時など気圧が下がると魚のレンジが上へ上がってくるといわれるのはこのためでもあります。
魚が感じる音の範囲
一般的に人間は20hz~20,000hzの音を聞き取れると言われていますが、魚は10hz~2,000hzと言われ、人間にはない多くの器官を持っているのに意外と感じ取れる音の範囲が狭いこともわかります。
魚類の中でいちばん聞き取れる音の範囲が広いのがイルカやシャチ。その範囲は150hz~150,000hzの広い範囲の音を聞き分けられ、水中で音でコミュケーションを取っています。
エサとなる小魚の群れを遠くからもキャッチして追い込み捕食することができます。
自分たちもショアジギングとかに行くと岸近くでイルカに出会うことがありますが、「イルカを見るとその場所は釣れない」と言われるのはこのためで、イルカがそこらじゅうに居るベイトを追いやってしまうからです。
魚には臭覚がある!?
魚には臭覚があることも知られています。手についた油や、お手拭きタオルなどの香料も釣りの時にはルアーなど仕掛けやエサに移らないようにしたほうがいいといわれるのもこのためです。
また面白い話もあります。最近になって取り沙汰されることの多くなった海のプラスチックごみ問題。エサがなくプラスチックの浮遊物を食べてしまい死んでしまう事例が多く確認されています。
北アメリカ西海岸で行われた、アンチョビ(日本でいうカタクチイワシ)を使った研究によると、どうやらカタクチイワシにとってプラスチックは「美味しそうな良い匂い」と感じとっていることが判明したという話もあります。