釣れた魚でも、それが何の魚がかわからないときもあります。その代表的な存在としてヒラメとカレイは似ているけど釣れた瞬間どちらかわからない人もいると思うので、違いと見分け方を解説します。
たまにヒラメがいる場所でワームに食ってくることがあるというシタビラメや、極寒の海で育つオヒョウについても詳しく掘り下げてみます。
釣り歴15年、日本料理店での調理師歴20年以上のチヌコックことOSAMUです。ライトゲームが趣味の料理人でした。割烹や厳しい修行を強いられる高級料亭で働いていた経験から素人さんのレシピサイトでは決して載っていないプロならでは小技、裏技を得意としております!ちょっとしたひと手間で絶妙に上手くなるそのヒミツとは…!?
それぞれの違い、異なる性質
英語で俗にフラットフィッシュと総称されるこれら類の魚は見てくれこそ似ていますが食性や育つ環境が違います。
そのため釣り方ひとつてっても、食べて見てもまったく異なります。
食べてるエサの違い
ヒラメはルアーにも果敢にアタックしてくるフィッシュイーターと呼ばれるイワシやキビナゴなど小魚を主食にしているため、エサを発見した時の瞬発力に優れ、運動性能を持ち合わせています。
カレイの方はというと、好んで食べるエサは甲殻類や虫エサ(ゴカイなどイソメ類)。泳ぎ回るエサを追う必要がないのであまり動かずほとんどじっとしています。
寒い時期のルアー釣りで、プラグをボトムドリフトしているとカレイが食ってくることがあるのはこのためです。
言い方が適当ではないかもですが、アウトドア派のヒラメと、インドア派のカレイといたっと頃でしょうか。
身質(食味)の違い
この異なった日頃の運動能力とエサの種類が食味にも関係しています。
エサを追い活発に動きまわるヒラメは、身が引き締まっており、刺身や寿司ダネなど生食するのに向いています。運動量が多う筋肉質のアクティブ派なヒラメ。
またカレイはあまり動かず身質は柔らかくふっくらとして脂がのっているため、生食には不向きで刺身で食べても水っぽくて食感がよくありません。煮付けや唐揚げに適しています。よくスーパーで見かける安価な冷凍オヒョウの切り身も脂が乗っていてやわらかいカレイの仲間です。
例えが悪いですけど、例えるなら食べても運動しないメタボになりやすいパッシブ派のカレイです。
価値の違い
カレイは切り身などでスーパーでも頻繁に見かけることはありますが、ヒラメは刺身などで売られているものは養殖ヒラメでごく一部だけです。
実は天然物の全国の漁獲量を比較してみると、カレイは41,350トンあるのに対して、ヒラメはわずか6,900トン弱。捕れる量に5倍以上の差があるため、カレイは安価で取引きされてもヒラメは高級魚扱いになってしまうわけです。
それぞれの特徴
ヒラメ
カレイ目カレイ亜目ヒラメ科
カレイ目カレイ亜目ヒラメ科というヒラメなのにカレイ科に属していると言うわりにくい分類ですが、カレイとは異なり性格は獰猛で身体全体を使った俊敏な泳ぎで小魚を捕食するフィッシュイーターで、小魚に似せたルアーの格好のターゲットとして人気があります。
身が引きしまり淡白な白身魚で高級魚として取引されています。食べるの出れば刺身やすしがよく、またあまり知られていませんが、ヒラメの肝は絶品なんです!カワハギの肝と同じく珍重されます。
旬は冬です。感じで魚へんに平と書き「鮃」と書きます。
カレイ
カレイ目カレイ亜目
カレイはカレイ目カレイ亜目に属し、その姿が落ち葉のようにみえることから和名では「鰈」と魚へんに草かんむりのない葉を書いた漢字で表記されます。
国内でよくみられるカレイは、マコガレイやイシガレイ。
釣り方も俊敏な動きをするジグやプラグなどではなく、虫エサかもしくはイソメ系のワームになります。
シタビラメ
カレイ目ウシノシタ科
サーフでシャッドテールのジグ+ワームで釣れることもあるシタビラメはカレイ目に属していますがウシノシタ科でヒラメやカレイとは少し異なる種類です。形が牛の舌に似ていることからこう呼ばれ見た目がほかの2種とはまったく異なるので見分けは容易です。
身がやわらかくしっとりとしていおりフレンチなど洋食の世界ではムニエルによく用いられ、サーモンと並ぶ魚料理の代表的存在として知られていますが、
可食部が少なく、底物の魚に多い独特の土っぽい匂いがするのとあまりキレイとは言えない見た目とで、私の地元では漁師が捕っても市場では取引きされずもっぱら漁師のおかずになるほど国内での評価はイマイチ低いです。
オヒョウとは
オヒョウは漢字で「大鮃」と書くが実はカレイの仲間。日本では北海道で釣られる体長が2メートルを優に越す大型の魚で、主にノルウェーなど冷たい海で大きく育つ。
食用魚として広く用いられており、日本でもスーパーなどで切り身にして売られています。また安価な回転すしや総菜などにヒラメのエンガワの代用品としてこのオヒョウのエンガワが用いられていることがほとんど。
美味しい魚ですが、味は一言でいうと「脂の乗ったカレイ!」ほろほろと崩れるやわらかい身でほんとうによく脂が乗っていますが、むつっこい味ではなく食べておいしい大型魚。
ただし取引される値段はヒラメよりも安い。大型でも”大衆魚”
ノルウェーやグリーンランド、アイスランドでは釣りのターゲットとなっているようです。
ヒラメとカレイの見分け方
よく似ていて釣れたとしても見分けがつきにくいのがヒラメとカレイ。
19世紀以前の日本ではカレイとヒラメは区別されておらず、大きいものをヒラメ、小さいものをカレイと(めちゃ大雑把w)呼んでいたそうです。
でも知っていると意外と簡単に見分けられるようになります。
目の位置
口を下に向け、尾ビレが上になっている状態で二つ並んでいる目が、左に寄っているのがヒラメ
右に寄っているのがカレイ。
同じように口の開く向きも、目と同様にヒラメは左。カレイは右に向かって開いています。
腹を下にしてみる
また表にしたまま、お腹側(内臓がある箇所)を下にしようとすると、ヒラメは左を向き、カレイは右を向きます。
体格
カレイは◆ひし形をしていますが、ヒラメは楕円型をしています。シタビラメは頭が丸く細長い胴体をしていて薄っぺらいのが特徴です。
ヒラメは動き回ってエサを捕食するので身が締まって筋肉質。
歯
ただしここまで確認して見ても、稀にカレイには左を向いているものもあります。そういった場合にも役立つ決定的な見分け方は口の中の歯をみることです。
ヒラメは小魚などを食べているので、口もカレイより大きく歯の一つ一つが鋭くなっているのが特徴で、虫エサなどしか食べないカレイは口が小さくおちょぼ口をしています。
鋭い歯をもっているか、いないかで確実に見分けることが可能です。