兵庫県北部の沿岸では、地元の漁協が知事から免許を受けて共同漁業権を設定しており、対象となっている魚介類の大半がサザエやアワビなど高額で取引きされるものを含みます。当然、漁業者以外が採取すると漁業権侵害となり法違反として罰せられます。
夏の海水浴シーズンになるとこの場所では京阪神から海水浴目的で訪れた一般人らがレジャー感覚でサザエやアワビを採取し、密猟が後を絶ちません。今年は盆休みまでにすでに摘発件数が16件に及んでいます。
私たちからすると海はみんなのもの、自然のものを取って何がいけないのか?じゃ、釣りはどこまでOKなの?
疑問におもうことも多くあります。
釣りマニアの観点から、密漁と漁業権について調べてみました。
長い経歴(釣り歴平均12年以上)を持つ釣り好きが集まった共同運営チームです。釣り種によってはメーカーのテスターも有しています。メーカーやプレスリリースでは伝えることのない一般ユーザー目線で忖度なしにお伝えすることを目的としており、タックルやアパレルなど率直なインプレや実釣経験を基にした記事をお届けします。
なぜ自然のものを取ってはダメなのか
乱獲や水産資源の枯渇を防ぐための漁業免許制度
海は自然のものなのに、一般人が捕ると密漁。
ではなぜ漁師だけが自由に捕獲し商売にできるのかというと単的に説明すると誰でもが勝手に採集していくと海が無法地帯となり、いくら自然のものとはいえ取りすぎると資源は枯渇する。
そのために漁業を免許制にして、漁師さんには許可を与えると同時に「自主的な海の管理」が義務付けられているのです。
自家消費だけでは漁業権は認められない
んじゃ、捕りたい魚介類を取るために漁師になれば許されるのかといえばそれもNG。
漁業免許制度というものは、海産物を多くの一般人に提供してもらうための「一次生産者」になってもらうためのもので単なるライセンスではないのです。
ですから免許を持ったら「1年のうち90日間は市場へ水揚げをしなさい」という規則があり、遊びでちょっと来て捕って売るのでは許可が下りるはずがありません。
自分たちが食べる分だけを捕るというのは当然認められているわけではないのです。
とってはいけない定着性水産動植物と特定水産動植物
ワカメや昆布もダメ!
漁業権を持たない一般人が採取することを禁じているのは魚介類の種類とその捕獲方法のふたつがあります。
一つは定着性水産動植物と呼ばれる、いわゆるサザエやアワビ、ウニ、ハマグリの貝類やイセエビを代表するカニなどの甲殻類など、
泳いで移動しないものその場所で生まれその海で育ったものを勝手に捕ると違法になります。
ダメなのは固着資源と呼ばれる泳がない動かないもの
です。
自分たちが気軽に捕れる身近なものの代表としてアサリやムール貝、ナマコも地域によってはダメ。禁漁区ではたとえ自家消費のための少量であっても違反=密漁となります。
ワカメや昆布、アカモクなどまったくのごみ当然の扱いされる地方もあるものも隣の県に行くと禁漁対象に指定されるなど、その範囲は地域の地方自治体によって大きく異なります。
してはいけない漁法
捕ってはいけない海産物のほかに漁業には免許を持たないものがすると罰せられる禁止漁具・漁法があります。
一般的に該当するものを先に並べて見ると
・潜水器(ボンベなど)を使用しての漁獲
・集魚目的で水面を灯りで照らす行為
・油漬けのエサの使用
・地引網や投網(一部の地域)
これらは地域によって若干異なるものの違反とみなされると、半年~3年の懲役または、10万~300万円の罰金が課せられます。
釣りは許される自由漁業
漁業権には漁業権漁業と、許可漁業と自由漁業と3種類あって私たち一般人に認められているのはこの「自由漁業」のみ。
ここからが大事なところでこの内訳をざっと説明すると…。
泳ぐものですw
ベイトを追いかけ場所を移動する魚です。
釣りは自由漁業に該当します。
ですから、イカやタチウオ、ヒラメやチヌ(クロダイ)など商売できるほどたくさん釣る人いますよね?
釣りはいくら釣っても違法にはなりませんし、
許可を得なくとも密漁にはあたりません!
極端な話、マグロもOKなんです。ただし国際法でマグロやカジキは規制されているので、個人で釣り行く人はあまりいないでしょう。
すなわち、釣りは禁じられた漁法(投網、水面を照らす)等をしなければ、どんな魚を釣ろうが何匹釣ろうが許されています。
遊漁ルールの中にはゴミ不法投棄も
たかがゴミでも懲役5年または1000万円の罰金刑
現在釣りポイントで問題になっているゴミ問題もまた、漁業権が設定されているような海岸、港湾部では「遊漁ルール」として法が定められています。
釣り糸や、釣り針、使えなくなったルアー、ルアーケースなどもその場に置いて帰ると不法投棄となり罰金が科せられます。
たかがゴミされどゴミです!自分が出したゴミは必ず自ら持ち帰って適切に処分しましょう。これは釣り好きの最低限のマナーです!