やっと手に入れたエクスセンスジェノス。昨今のシーバスロッドの話題を独り占めしていることは間違いないこのロッド。エクスセンス∞(インフィニティ)の血統を受け継ぐハイクオリティのロッド。
5人の各プロアングラーの監修によるそれぞれ個性のまったく異なるラインナップが特徴となっています。
エクスセンス∞で進化したシリーズのクロノロジーはそのまま引き継ぎ新たに個々にオンリーワンな独自設計を配した5アイテムの個性派集団がジェノス(種族)だ。
そのなかでも自分にはいちばんバーサタイルで扱いやすく感じたS92ML/F3を購入したのでインプレをしてみたいと思います。
シーバス釣り歴15年以上になります。川すずきを主に追い求めて駆け回り収入の半分は釣り道具につぎ込むシーバスオタクです。メーカーからの供給を受けルアーのテスターもしています。はじめた頃と比べると随分とフィールドの状況も変わり釣り方も変化しており、これからもずっと学び続けなければいけないと痛感しています。これまでの長年蓄積してきたノウハウを基に現代にあった”今釣れる情報”をお届けしていきたいと思います。
∞(インフィニティ)とジェノスの違い
インフィニティは言い方が適切とも思わないがどちらかというと万人受けするバーサタイルだったのに対して、こちらはそれぞれ個性を持った、それら目的やフィールド、ターゲットにより特化された専用シーバスロッドと言えます。
初回分はシマノのインストラクターである5人が、監修しそれぞれ異なった特色をもっています。
S92ML/F-3のタイプ・特徴
今回自分が手にしたS92ML/F-3はほかのモデルよりもさらに特化された部分があります。このロッドはあのシーバスデイゲームの面白さを世の中に知らしめたコアマンの代表、泉裕文さんの監修
3ピースの利便性
現代のルアーフィッシングにおいてロッドは2ピースが主流ですが、このモデルはなんと3ピース!
もちろん持ち運びの利便性も考慮して、なおかつロッドの穂先の部分、1/3~1/4先だけ曲げる、いわゆるファーストテーパーを極端かつ大胆に設定する目的で3つに分割されています。
感じたのは釣行にバイクや自転車でランガンする際にはこのコンパクトさは非常にありがたい。優れた性能を持ったシーバスロッドでこの持ち運びが容易になるというのはなかなかお目にかかれない。
またティップにはエクスセンスジェノスの中でこのモデルのみ唯一【ソフチューブトップ】が採用されています。このティップ構造は簡単にいうと、感度と乗せ重視の吸い込みやすさを追求するソリッドティップと通常のチューブラーのいいとこ取りをした合いの子。
乗りの良い柔らかいティップだとどうしてもだるんだるんになりがち…。キャスト時などにはシャキっとした弾性を損なわない硬さも保たれたティップとして開発されたものです。これが絶妙にいいいんです!使い心地は後ほど詳しく!
レングス
監修した泉さんいわく、泉さんの「身長は172cmで体力がそれほどあるわけでもない」という。だからあまり長いロッドは必要ないらしい。けれど9フィート以下のロッドだと飛距離に不満が残る。そこで出た答えが9.2フィートという長さ。
自分の身長も170cmで体系はやせ型。実はこれまでメインで使っていた9.7フィートのロッドは正直”長くて邪魔だな…”と感じていた。新しいロッドを選ぶときは9フィート前後のものにしようと考えていたので自分にとってピッタリだと思った。
肝心の飛距離についてもあとで詳しく説明します。
この長さでも従来のもっと長いレングスのロッドと比べて…。これまた驚く!
軽さ
9.2フィートの長さで自重がわずか126g。これは驚異的な軽さだった。自分はチニングもやるし性能が良くて感度もいいロッドに共通する軽さは必然的にアドバンテージが大きいと感じているので、これもまた選んだ時の決定的なスペックであった。
実釣交えた各パーツごとの詳細インプレ
それでは、ここで実釣もしてきたので、実際に使用してみた感想も踏まえながら気になったところをピックアップ。
ひとつひとつ解説していきます。
ルックス
自然なカーボンの無塗装の外観は、派手さこそないが逆に強靭な印象。
よくあるテカテカのツルツルではない。どちらかというと光沢のないマットブラック。カーボンを幾重にも巻いた部分が渋くてカッコイイ。自分好みだ!
また写真のようなブランド名も吹き付け塗装でも彫り込んであるものでもない。車のエンブレムのように突起したしたもので象られている。ちっさいことなんだけどこういうのがいちいち男心をくすぐるのだ。
ティップ
一番伝えたいのがこのティップ!
食わせのノリが良さそうな実によく曲がる柔らかいティップなくせに、キャストしたときにはビシッと決まる。つまりシーバスを掛けた時には弾かずに乗せるほど柔らかいのに、振り込んだ時のブレの収束が早い。
実際にロッドだけを上下にブラブラ空振りするとティップの柔らかさは当然感じる。少しだるいんじゃないのかと思うくらい柔らかい。しかし!いざリールをセットしてラインを通しルアーを繋いでキャストすると…。
そんな迷いなんて一気に吹っ飛んだ!!
キャスト時のブレが少ないので精度も向上。自分が上手くなったように錯覚さえさせられる。乗せ重視の柔らかさも備えつつキャスト時のこの爽快感は異次元。今のシマノのロッドテクノロジーが惜しみなく注ぎ込まれたブランクスとS92ML/F-3にのみ採用されたソフチューブトップの恩恵だと思われる。
ブランクス
最初に開封したときにティップを見た印象と同じ、ブランクスも「ほっそッ!」
こんなに細くてデカいシーバス掛かったとき耐えられるのか心配になるほど細くて軽くよく曲がる。実際に実釣してみたもののその日はホゲたので魚掛けてないのでわからないが、実際バイブレーションを投げていて根掛かりしてしまい、強引に引っこ抜こうとするとロッドが曲がる曲がる!、中心部からグニャ~と。
さすがにそれ以上曲げるのは怖かったので途中であきらめましたが。あのままやってたらスポっと取れちゃうほど強いブランクスかもしれません。
おそらく曲がることでタメが効き粘るのだろう。この粘りがパワーになっているに違いない。かといって通常の粘るためゆえのダルさは一切感じさせない!
ましてや、パックロッド並みの3ピースによる欠点なんて微塵も感じなかった。
ガイド
バットガイドにエクスセンスジェノスから採用されたシマノの新しいロッドテクノロジー「X ガイド」。空気抵抗の軽減も計算された角のない丸みを帯びた形状の中が空洞になっている軽量チタンで作られたフレームに特殊表面仕上げを施した高強度・高耐摩耗性の軽くて肉薄の金属リングが加えられている。ラインの放出抵抗とキャスト時の空気抵抗を低減してくれるらしい。
自分はプロではないので、ガイドそのものの性能の違いとかよし悪しはハッキリと感じられなかったが、キャストフィールがすこぶる心地いいと感じるのはこういった恩恵も受けていることは疑いようがない。
グリップデザイン
グリップエンドはカーボンモノコック構造になっている。インフィニティのように斜めにカットされたデザインではなく同シマノのバスロッド、「ポイズン」のグリップに似ている。
特に持ちやすいとかはないが、見た目がマットブラックですっきりしていて好印象
リールシートとフォアグリップ
はじめて手にして特に印象に残っているひとつがこのフォアグリップとリールシート部分の握った時のホールド感。
かなり贅肉をそぎ落としたスリムな形状で、手の小さい人でもガッチリ握りやすくなっている。
上から見るとかなりスリムな抜群のスタイルをしている。(笑)
エクスセンスシリーズの特徴だと思われる。ほかのブランジーノなどのシーバスロッドにはないスリム感がある。
キャストと適合ルアー重量
この日はデイだったのでバイブレーションにレンジバイブの70ESの15gと、グラバーHI89S(13.5g)を試投してみた。
シーバスで頻繁に使う15g前後のルアーがちょうどよいと感じた。このあと試しにもう少し重たいスイッチヒッター85S(20g)を投げてみたが、これもまたいい感じで投げれる。若干垂らしただけの状態でティップが下を向くが投げる前から先重りを感じるほどではなかった。まだもう少し重たいのもいけそうに感じた。
スペック上は32gまでいけると記載がされているが、おそらく~25gくらいまでが気持ちよく扱えるルアーだと思われる。
とにかく軽い力で良く飛ぶ、テイクバックで後ろに少し傾けるだけで勝手にルアーの重みを載せて跳ね返してくれる印象。
実際に測っていないのでわからないがS92ML/F3の9.2フィートであるにも関わらず、いつも使っている9.7フィートのブランジーノ並みに飛距離が出せている感じがした。キャストフィールはかなりいい!!
ポインター
このセットポジションを示してくれるポインター。2ピースでも大概のものには付いているけど特に気にしてこれをみながら接続することはほぼない。
S92ML/F3のモデルは3ピースだからこそ、これはあるとけっこうありがたいのでは。
1本目がちゃんと繋げられていて2本目と3本目もまっすぐつなげられたとしても1本目と3本目のがズレてたりすることだってある。そんなときには助かるのかな…。真っ暗なナイトゲームだと見えないだろうけど(苦笑)
ルアークリップ
ベイトのバスロッドなどには付いている機能だがスピニングではほぼない。スピニングの場合、ランガン中移動する際にルアーはガイドやリールのベールに引っ掛けておくことがほとんど。けどこれがあると助かる。
代用がきくものでなくても大丈夫だが、あるととても実用的だし高い確率で使うありがたい機能だ。
備品の2点ベルト
3ピースに分割して運ぶ際に使えるロッドベルトが上と下で2本付属してあった。これも気の利いたアイテムで非常にありがたい。肩や背中に背負うロッドケースにしまい込むにしてもバラバラ動くまま入れておくのはロッドにもよくない。
買わなければいけないと思っていたのでこれもあって助かった。