ウォブリング、ローリング、スラローム、ウォブンロールを解説します。
ルアーには開発設計時にルアーの個性を形づくる特有のアクションをするようになっています。それぞれ目的や釣り方に合わせて作られているため動きがが異なり、得意な釣り方、不得意な状況が存在します。
あとから使い分けができるようにこれらからウォブリング、ローリング、スラローム、ウォブンロールについて写真と動画を用いてお伝えします。
長い経歴(釣り歴平均12年以上)を持つ釣り好きが集まった共同運営チームです。釣り種によってはメーカーのテスターも有しています。メーカーやプレスリリースでは伝えることのない一般ユーザー目線で忖度なしにお伝えすることを目的としており、タックルやアパレルなど率直なインプレや実釣経験を基にした記事をお届けします。
ウォブリングアクション
ウォブリングは、正面や上から見るとボディの中心を軸として、身体を左右に大きく振るアクションです。
前方からの水を強く受けて逆側に反り返ったときに、そこがまた水を受けて反対側に反ることで左右に振れる構造です。
スローで見るとまるで魚が尻尾を果敢に動かしながら泳いでいるように見えます。ルアーアクションの中でもっとも水押しが強くアピール力が高いのが特徴でアクションの中では魚を寄せ付けることが可能な反面、スレさせやすいというデメリットもあります。
釣れるルアーとして永久不滅のラパラカウントダウンがまさにこのウォブリングアクションをするミノーの代表格です。
ウォブリングの得意、不得意
ウォブリングは体高があり太い骨格を持ったクランクやバイブレーションによく見られるアクションで、いわゆるアピール系で押しの強いアクションであり、魚を寄せる力もありますがその分スレるスピードもはやく訪れます。
そのためあきらかに活性が高い時や、活性が高い個体を誘い出したい場合などに有効で、魚の居るレンジや場所を見図るための一投目のサーチベイトとして使うのに適しています。
ウォブリングアクションの派手な動きをする代表格的ミノーのラパラのカウントダウンシリーズの水中動画です。
よくアクションがわかります。
ローリングアクション
ローリングは、振れる軸となる中心点が90度逆になりボディ全体を横に倒し、左右交互にパタパタと揺れ動くアクションのことです。水押しは弱いものの、ルアー側面の強いフラッシング効果を生み出すのが特徴です。
またウォブリングと比べるとどちらかというとアピールは控えめなため、より自然なアクションになっておりシンキングペンシルやローアピールのミノーに多用されているアクションになります。
ローリングの得意不得意
ローリング主体のルアーは、遠く離れたターゲットに気付かせよせてくるアピール力はないものの、よりナチュラルな動きに特有のフラッシング効果がプラスされより本物の小魚に近いことから、スレ画が多いタフコンディションのポイントや、ルアーが見切られやすい日中の水が澄んでいる場合などに有効なアクションです。
ゆるやかなローリングアクションをする代表格的ルアーのローリングベイト(廃盤)の水中動画です。
スロー再生でゆっくりと横にロールしていることがわかります。
スラロームアクション
簡単に説明すると先端のアイを中心にして尻尾を振る動きです。ラインアイのある中心(先端)を軸にして、後方だけを振っている動きです。ウォブリングと比べると滑らかな動きでスレに強いのが特徴です。
スラロームとは直訳すると「蛇行」です。魚が泳いでいる姿を上から見ると胴体をくねらせ、それとは逆にひねった尻尾の動きでクネクネ泳いでいます。この動きに近づけたアクションがこのS字スラロームになります。S字は読んで字のごとくSの字の形。
1本造りのプラグ(ジョイント系ではない)でいうとBlueBlueのスネコンやアムズデザインのソマリなどがそれにあたります。(スネコンは動きが素晴らしいものの飛距離を出すためにはタックルを選び、ややテクも必要。ソマリは扱いやすく初級者向きです。)
このS字軌道を極限まで突き詰めたジョイントルアーなども存在しますが、ここでは割愛します。
S字スラロームの得意不得意
魚の泳ぎを再現しているより自然な動きなので、”流れに乗せる”、ほぼ”巻かない”使い方が適しています。漂うようにゆらりゆらり泳がせたり、スローリトリーブの間に一旦止めるなど、扱い方はシンペンの使い方に似ています。
スラロームアクションの動きがよくわかるユラユラと泳ぐベイトの動きによく似たアクションであることがよくわかる動画です。このゆったり泳ぐ自然なアクションがランカーシーバスを狂わせるのでしょう。
ウォブンロールアクション
上記で説明したウォブリングとローリングの特性を合わせもったアクションのことをこう呼称します。現在世に出回っているルアー(特にミノー)の大半がこのウォブンロールです。
ひとえにウォブンロールといっても、ウォブリング主体の動き+ローリングであったり、真逆に基本はローリングで少しだけウォブリングするなど、2つのアクションの持たせる比率によってバランスが異なります。
ウォブンロールの得意不得意
ウォブンロールはアピール力の強いアクションと、よりナチュラルなフラッシング効果のあるローリングの性能を併せ持っているためどちらかというとどんな場面にも使えるバーサタイルなタイプといえます。
そのために最初に投げるパイロットルアーとしての役目も果たすが、最後の切り札的にも使えるのでローテーションの1軍にはひとつは常備しておきたいおすすめになります。
国内ルアーでウォブンロールアクションといえばシーバスシーンで120F裂波なので馴染みの深いサスケシリーズです。
これを見てもとてもアピール力の強いアクションであることがわかります。
I字アクション
I字系とはS字とまったく異なるコンセプトで開発されたルアーで、アクションと言えるのかどうなのかもわからないほど細長い棒がまったく動かずに一直線に動くアクションのことをいいます。この1本のまっすぐ動く際の微波動だけで誘います。シーバスのバチ抜けルアーのシンペンなどのアクションです。
一世風靡したバス釣り用のジャッカルのセイラミノーなどががそれにあたります。
I字アクションの得意不得意
I字アクションはその微波動でスレに強く、タフコンでハイプレッシャーな個体に、警戒心を解き口を使わせるときに有効です。また極寒期の釣りにも何故か、このような動かないルアーに反応しやすくなるため、真冬に細めのI字は使える場面が増えます。
昨今のハイプレッシャー化したフィールドでは、こういったローアピールのルアーが厳しい状況にしか対応できない場面も多くなってきました。
I字アクションの水中動画です。ただまっすぐに棒が漂うだけのアクションであることがわかります。ほかのルアーではまったく反応をみせないようなスレたシーバスに効果を発揮します。